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認知行動療法士となるために必要な次の講座について基礎部分を展開しております。
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最新頁:認知行動療法講座
第3回 1-1-3 面接の流れ【2016/9/5】
 前回は,認知行動療法でどんなことが行われているのかを,全体の流れとしてお話ししました。今回は,1回の面接でどんなことが行われているのかをお話ししましょう。1回の面接は,大別して開始・本体・終了の3つの部分から構成されています。

1)面接の開始部分
 認知行動療法では,通常,クライエントの気分をチェックすることから始まります。BDIなどのアセスメントツールを使ったり,オリジナルの質問紙で行われることもあります。この後,前回の面接内容を思い出してもらうように確認作業を行なったり,前回の面接から今回までの間に,どんな変化や状況が合ったかを話してもらいます。さらに,その日の面接本体で,どういった内容を扱っていくかを決め,その日のテーマとします。また,開始部分での大切な作業として,ホームワークの報告があります。前回の最後に出されたホームワークがどんな風に作業されたか,あるいは実行できなかったかを報告してもらいます。

2)面接の本体部分
 ここでは,開始部分で決めた「テーマ」にしたがって,作業を始めます。査定の段階であれば,「アセスメントシート」を使って査定を行い,概念化まで進めていきます。また,改善の段階であれば,「改善計画」「改善パッケージ」の内容に従って,その日の作業を行います。クライエントに対する心理教育であったり,認知を再構成,行動計画の作成,イメージ曝露,スキルの修得などの作業であったりします。面接の大半の時間がここに費やされます。

3)面接の終了部分
 その日の最後に行われるのが,カウンセラーによる面接のまとめ作業と,クライエントによるフィードバックです。カウンセラーはその日の面接内容を要約したり,大切なポイントの再確認します。一方で,クライエントはその日の面接全体を通じて感じたことや気づいたこと,感想などをカウンセラーに伝えます。最後に,次回面接に向けて,ホームワークを決めます。ホームワークの内容は,それぞれに状態により異なります。クライエント自身の感情や思考をセルフモニタリングするような作業であったり,新たに修得した考え方やスキルを実際の日常生活で行動実験してみるものであったり,不安に対する現実の曝露を実行するものであったりします。実は,このホームワークが,認知行動療法における改善の主要部分であったりもするのです。

 認知行動療法における1回の面接の流れを,簡単にたどってみました。このWEB研修は,カウンセラーのための認知行動療法として展開されていますので,医師法との関係から,診断・治療という用語を極力使用しない方針です。このため,本来認知行動療法で使用されている「治療計画」「治療パッケージ」という用語を「改善計画」「改善パッケージ」と表現していますのでご了承下さい。

次回からは,認知行動療法の3本柱である「行動の修正」「感情の修正」「認知の修正」を順に見ていくことにしましょう。

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第3回 1-1-3 精神疾患の分類【2016/9/6】
 前回は精神疾患について,正常・異常を判断する基準についてお話ししました。症状や治療の必要から一定の基準を打ち立てるというものでした。そうした意味から,操作性診断基準として,DSMやICDといった基準が存在することにも触れました。

 さて,ここでちょっと視点を変えてみましょう。身体疾患においては,その原因の解明がかなり進んでおり,ウイルス性のものであったり,腫瘍であったり,臓器そのものの変質であったりと原因は様々ですが,原因との関連がはっきりしているものが多い訳です。一方で,精神疾患については,原因究明が余り進んでいないのが現状です。そこで,症状や治療の必要から基準を設けているという事情もある訳です。

 そうした状況の中で,実は医学的な原因がはっきりしている精神疾患もあるのです。いわゆる認知症や薬物依存といった精神疾患です。脳の萎縮や脳血栓,アルコール麻痺のような原因から,器質的・身体的に脳が影響を受けて精神障碍が出現している場合です。これを「器質性」の精神疾患と呼びます。こうした原因側からのアプローチをすると,器質性以外の精神疾患は,2つの原因的なものを考えることができます。ひとつは,妄想や抑うつなど,身体的な原因以外で本人の内側から変化が起きていると考えられるものです。統合失調症や大うつ病と呼ばれるものです。これを「内因性」の精神疾患といいます。脳神経科学の発達により,内側の変化を中枢神経と関係のある脳内物質の変化として解明が進んでいます。もうひとつは,本人の外側から主として心的な影響によるもの,いわゆるストレスによるものです。これを「心因性」の精神疾患と呼びます。不安障碍やPTSD,適応障碍といったようなものがこれに該当します。ちなみに,器質性,内因性,心因性のうちで,内因性のもの以外をまとめて,外からの原因という意味で「外因性」の精神疾患と呼ぶことがあります。

 こうした器質性,内因性,心因性といった分類は,身体疾患のように原因の面から精神疾患をみたものです。こうした原因を推定しながら精神疾患を判断する際に使われる基準があります。これを,伝統的診断基準と呼び,DSMなどの操作的診断基準とは区別されています。精神疾患の原因が医学的に明らかでないため,現在は操作的診断基準が主流ですが,近い将来,脳神経科学によって各種の精神疾患の原因が解明された暁には,もう一度,伝統的診断基準の時代が来るかもしれません。その頃には,身体疾患と精神疾患の区別がなくなり,精神疾患が脳を対象とする身体疾患として位置づけられているかもしれませんね。

 未来のことはその時が来るのを待つことにしておきましょう。現状においては,操作的診断基準が主流ですので,それに基づいて話を進めていきますが,その際にひとつ留意しておいて下さい。操作的診断基準は,症状から精神疾患を区別します。いいかえると,正常な状態や他の精神疾患との区別,いわゆる鑑別診断にとって非常に有効な基準となります。平たく言うと,隣との境界線をしっかりと区別しているので,線引きしやすいと言うことです。これに対して伝統的診断基準では,原因そのもの(正確には原因のように説明できるものばかりでなく,ストレスなど心的に了解できるもの)からのアプローチですから,精神疾患そのものの典型的な形態がわかりやすいということになります。その意味で,このセミナでは,操作的診断基準としてのDSMをメインに展開していきますが,場合によっては説明をわかりやすくするために,器質性,内因性,心因性と言った伝統的診断基準を使っての説明も織り交ぜていきます。

 次回は,操作的診断基準としてのDSMの少し詳しいお話をしていきます。

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第1回 1-1-1.脳の構造【2016/8/31】
【全体脳の構造】
 脳は,ニューロンと呼ばれる神経細胞が集まって,情報ネットワークを構築しているものです。「大脳」「小脳」「脳幹」「脊髄」といった部分から構成されています。重さ1400gの臓器で,重量比からすれば,身体全体の2%を占めるに過ぎません。その一方で,脳のエネルギー消費量は500kcal/日で,全身の筋肉の消費量とほぼ同僚を消費するのです。ちなみに,脳で消費されるエネルギーは,糖質=ブドウ糖のみとなっています。

 脳の構造の大部分を占めるのは,「大脳」であり,全脳量の85%を占めています。人間らしい機能としての思考や感情,感覚や記憶をつかさどっているのです。大脳の背側の下にあるのが「小脳」と呼ばれる部位です。全脳量の10%を占める部位で,全身の筋肉をコントロールし,姿勢やバランスを保っています。大脳の下には,「脳幹」と呼ばれる生命維持の機能をつかさどる部位があり,呼吸や血液・体温などを調整しているます。脳幹は,さらに細分化されて,視床や視床下部,下垂体などからなる「間脳」「中脳」「橋」最下部にあり脊髄につながる「延髄」などの部位から構成されています。

【大脳の構造】
 大脳は,大脳縦裂(だいのうじゅうれつ)と呼ばれる溝によって,右脳と左脳という半球に分かれています。それぞれの半球は,中心溝,外側溝,頭頂後頭溝といった溝によって,4つの葉に分けられています。

 「前頭葉」が最も大きく,大脳の33%を占めており,思考や感情,判断,推論,学習などの高度な知的活動の中枢となっています。また,中心溝付近にある運動野と呼ばれる運動をつかさどる部位も前頭葉の一部となっています。中心溝をはさんでこれに続くのが「頭頂葉」で,頭頂葉には,皮膚感覚などの感覚を扱う感覚野が存在し,空間認識や感覚をつかさどっています。外側溝を挟んで,耳側に降りてくると,そこには「側頭葉」と呼ばれる部位があり,ここには聴覚野が存在し,また,顔,形などの認識や記憶を担当しています。ここから背側に移動すると「後頭葉」となり,ここには視覚野があって,主として視覚に関する機能をつかさどっています。

 次回から,さらに詳しく脳の構造や機能を見ていくことにしましょう。

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第2回 1-1-2.面接の構造化【2016/9/7】
【面接の構造化】
 前回は,初回面接についてということで,情報収集の場であるとともに,安心を感じられる場であるというお話でした。

 さて,今日は,面接の構造化という話。構造化というとどんなことをイメージしますか? 決まった形をしているとか,パターンにはまっているとか,そんな感じですかね。面接の構造化も,実はそんな感じです。でも,決してワンパターンという意味ではありませんよ。構造化は,面接の重要な要素で,面接の段取り・手順が定まっていることを意味します。手順が決まっているということは,面接のための場を調えることにつながります。クライエントに次に何が起こるかを知らせることで,不透明さを減らし,クライエントの不安を和らげることができるようになります。

 この時点で留意していただきたいこと,それは,カウンセリングにはじめて来たクライエントは,カウンセリングの場で何が行われ,どんな順序で行われるのかがわかっていないということです。それが不安に感じる訳です。クライエントにとって,こうした面接で思いつくことは,病院や診療所での数分間の医師の診察くらいしか経験がないのです。50分ほどの時間を費やして行われるはじめてのカウンセリングで,その時間がどんな手順で進むのかを知ることで,クライエントは安心できるようになります。では,構造化としてどんなことを伝えれば良いのか?カウンセリングでどんな手順をしているのかにもよりますが,通常は,面接の本体としてお話を傾聴する時間の部分と,最後にまとめや見立てをする時間の部分を説明することが多いと思います。それぞれの部分を時間にして○○分くらい行う旨伝えてあげることです。

【面接の目的】
 すべてのクライエントが面接の性格を理解しているわけではありません。面接を心理療法の初回と考える人もいたり,あるいは,なぜカウンセラーと話しているのか全くわかっておらず,医師からカウンセラーを紹介されただけだと思っているクライエントもいるかもしれません。とりあえずカウンセリングに行って来なさいと紹介だけされて来た人や,無理矢理連れてこられた人の場合,より丁寧に面接の目的を説明することで,カウンセリングに前向きになることもあります。そうしたことから,面接の目的を理解しているかどうかをクライエントに尋ね,それをクライエントに説明することは非常に有効なことなのです。

 では,次回から,「守秘義務」についてを,検討していくことにしましょう。