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 解説・・・・脳と心の疾患











 脳と心の疾患を解説します。

解説・・・・脳と心の疾患

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脳と心の疾患についての解説はここからです。

脳と心の疾患
・・・・脳と心の疾患には,内因性精神障碍(うつ病・統合失調症など),心因性精神障碍(不安障碍・ストレス障碍など)とともに,器質性精神障碍というものがあります。この器質性精神障碍は,簡単に言えば,脳そのものが変質を起こす障碍をいいます。脳そのものの変質の種類として,3種類があります。まず,脳内で異常が発生して脳が変化を起こす場合があり,これを器質性障碍と呼びます。次に,脳以外の身体の部分が身体疾患を起こしてその影響で脳に症状が発生する場合で,これを症状性障碍といいます。最後に,アルコールや薬物によって脳が変化を起こす場合を,中毒性障碍と呼びます。それぞれについて,見ていきましょう。

【器質性障碍】脳そのものの損傷

 脳そのものの身体的・器質的な損傷が原因となって精神障碍が起こる場合,これを「器質性障碍」と呼びます。器質性障碍では,脳腫瘍や脳炎,変性疾患,外傷などによって精神障碍が起こります。

 脳は頭蓋骨によって保護されており,また脳内の血管には血液脳関門と呼ばれる部分があり,血液中の物質がダイレクトに脳に入り込まないようになっています。そのため逆に,頭蓋骨内のわずかな変化が脳機能全体に影響を及ぼし障碍が起きることがあるのです。たとえば,手足をぶつけるなど手足に衝撃があった場合でも打ち身程度で済みますが,頭蓋骨自体に衝撃があった場合,脳震とうなど一過性の意識障碍が起こります。さらに激しい衝撃があると,衝撃の加わった部位とは反対側の頭蓋骨に,柔らかい脳がぶつかり,脳挫傷という形で,数時間から数日ないし数週間にわたる意識障碍を起こします。また,脳を包んでいる硬膜の血管がやぶれた場合に,かなり日数がたってから頭痛と意識障碍があらわれることがあります。

 脳内の血液が脳内出血を起こしたり,脳の血管が詰まることで脳梗塞を起こすなどの症状が起きることもあります。脳がウイルス感染するようなケースもあり,日本脳炎やその他のウイルスによる脳炎がみられることもあります。また,脳内で各種の脳腫瘍などの疾患を起こすこともあります。こうした障碍については,現在では「脳神経外科」が基本的に対応しています。

【症状性障碍】身体疾患が脳に及ぶ

 脳以外の身体疾患が原因となって脳に症状が発生し,精神障碍が起こる場合,これを「症状性障碍」と呼びます。身体的な疾患により高熱を発し,熱性の意識障碍を起こすような場合です。

 最も脳に影響が出やすい症状としては意識障碍で,意識障碍をおこしやすい身体疾患としては,高熱をきたす種類の感染症です。腸チフスや発疹チフスなどが,その代表例といえます。その場合に起きる意識障碍は「熱性せん妄」とよばれています。また,現在でも多くの病気の急激な悪化の場合(急性期)や死亡直前には,脳の変化としての意識障碍がみられます。とくに代謝疾患では,その頻度が高く,先天性の代謝異常や肝機能障碍によりアンモニアなどの代謝による産物が増加し,尿毒症,膵疾患による低血糖,熱射病,ニコチン酸やビタミンB1の欠乏(脳症),向精神薬服用中の副作用などが,脳の変化としての意識障碍を起こします。

 症状性障碍については,さらに急性,慢性による区別が発生し,急性の精神疾患として意識混濁や意識変容が,慢性の精神疾患として認知症やパーソナリティ障碍が位置づけられています。こうした障碍については,身体疾患そのものについては,それぞれの身体医学の各科が対応します。脳の症状については,脳神経外科が対応します。

【中毒性障碍】薬物が脳に影響する

 アルコールや薬物・毒物などの摂取によることが原因となって精神障碍が起こる場合,これを「中毒性精神障碍」と呼びます。アルコールや有機溶剤,覚醒剤,あるいは抗うつ剤,抗不安剤の過剰摂取による精神障碍が,これに該当します。

 急性の症状が脳の変化として意識障碍をともなうものに,アルコールのほか,大麻と有機溶剤(シンナー),あるいは睡眠薬の過量服用があげられます。この中でも,治療薬物のうち,ベンソジアゼピン系薬物である抗不安薬および睡眠薬を薬用量以上にのんだあと,一過性健忘(その間にあったことの記憶がないという現象)がみられることがあります。比較的身近で使われる頻度の高い薬物であることから,十分な注意が必要といえます。

 また,薬物による意識障碍は,一時的な服用時よりも,長期間服用して依存がつくられた後に,急に使用を中止するとき,高度にあらわれます。いわゆる禁断症状(離脱症状)と呼ばれるものです。とくにアルコールの場合は,振戦せん妄の状態がみられます。服用中止後2週間くらいで,まったく眠れず,いらいらして落ちつけず,全身の振るえ,発汗,ときには発熱などとともに,意識障碍がはじまります。とくに幻視が活発で,蛇がはい廻り,ねずみや虫の大群などが押し寄せてくるなどの訴えがあり,リアリティが強く,悲鳴をあげて逃げようとしたりします。症状は次第に軽快して,1週間程度で元にもどりますが,幻視の内容はよく記憶しているようです。この離脱症状は,抗不安薬の依存の場合にもおき,薬用量の数倍ないし数十倍も1ヵ月以上にわたって毎日服用すると,中止したあと1週間程度たって,アルコールの場合に類似のせん妄があらわれます。こうした障碍についても,現在では「脳神経外科」が対応しています。

【それ以外の場合】内因性・心因性の疾患になります

 今まで挙げたもの以外のケースの場合には,脳を起因とする疾患ではなく,脳内物質によるものや,純粋にストレスなどの心に起因する疾患ということになります。いわゆる「内因性精神疾患」「心因性精神疾患」ということです。これについては,改めて別のテーマでお話しします。